2026.03.30
投稿日:2024.12.24 最終更新日:2025.12.11
工事現場での作業中、第三者にケガを負わせてしまったらどうしますか?
建設業は全産業の中で最も労働災害が多く、令和6年には死亡者数746人のうち建設業が232人と最も多く、全体の約31.1%を占めています。これらの事故では、作業員だけでなく通行人や近隣住民など第三者が被害に遭うケースも少なくありません。
工事現場には多くのリスクが存在します。例えば、建設作業中に工具が誤って落下してしまったり、クレーン作業で隣接する建物や車両に損傷を与えてしまうこともあります。こうした予期せぬ事故が発生することは少なくありません。そんな時に頼りになるのが「賠償責任保険」です。
賠償責任保険は、こうした予測できない事故に対して、第三者に対する損害賠償をカバーする保険です。しかし、「どの範囲まで補償してくれるのか?」「他の工事保険とどう使い分けるべきなのか?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
工事現場では、作業中に工具が落下して通行人にケガを負わせたり、重機の操作ミスで隣接する建物や車両を損傷させてしまう事故が起こりえます。こうした「第三者への損害」が発生した場合、施工業者は法律上の賠償責任を負うことになります。 民法第709条では「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利
製品や工事の欠陥が原因で、第三者に損害を与えてしまったらどうしますか? 製造業や建設業では、引き渡し後に製品や建物の欠陥が発覚し、高額な賠償責任を問われるリスクが常に存在します。実際に、製品の欠陥による事故では数百万円から数千万円規模の賠償が発生しているケースも少なくありません。 この記事では、
建設工事に携わる皆さんにとって、建設途中の建造物・資材が壊れたり、傷ついたり、はたまた盗まれてしまったり…といった「もしも」の状況は案外珍しいことではありません。 実際に、国土交通省の建設工事事故データベースによると、令和元年から令和4年度にかけて約1,600件の建設工事事故が発生しています。
目次

工事保険の一種である賠償責任保険は、工事現場で発生するリスクのうち「第三者への損害」をカバーする保険です。工事の過程で予期せぬ事故が起きた際に、企業が法的に負う賠償責任をサポートする役割を果たします。
また、工事保険には「モノを守る保険」「ヒトを守る保険」「第三者を守る保険」の3種類があり、それぞれが異なるリスクに対応しています。賠償責任保険は、その中でも主に「対人・対物」への賠償責任をカバーしており、現場での万が一のリスクに備えるための重要な保険です。
工事現場で第三者に損害を与えた場合の賠償責任は、民法によって明確に定められています。
民法第709条(不法行為による損害賠償)では、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定されています。
つまり、工事現場での不注意や管理不足により第三者に損害を与えた場合、施工業者は法律上の賠償責任を負うことになります。
また、民法第715条(使用者等の責任)では、「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」と定められています。これは、従業員や下請け業者が起こした事故についても、使用者である元請業者や発注者が責任を負う可能性があることを意味します。
さらに、民法第716条(注文者の責任)では、原則として注文者(発注者)は請負人の行為による損害を賠償する責任を負いませんが、「注文又は指図についてその注文者に過失があったとき」は責任を負うとされています。
このように、工事に関わるすべての当事者が賠償責任を負う可能性があるため、元請業者だけでなく下請け業者や一人親方も、自身を守るために賠償責任保険への加入が重要となります。
建設業は全産業の中で最も労働災害が多い業種です。
令和6年(2024年)の労働災害統計によると
これらの事故の中には、作業員だけでなく通行人や近隣住民など第三者が巻き込まれるケースも含まれています。第三者への損害が発生すると、高額な賠償責任が生じる可能性があり、企業の経営を脅かす深刻なリスクとなります。
建設現場の事故では、負傷者への治療費・慰謝料や物的損壊の修復費用が数千万円から数億円規模に達することも珍しくありません。
特に高価な機械や建物、人身に対しての賠償は大きな金額になる傾向にあります。
このような高額な賠償金を自己負担で支払うことは、特に中小企業や一人親方にとって大きな経済的負担となり、場合によっては企業存続に関わる巨額リスクにもつながります。賠償責任保険への加入は、こうしたリスクに備える上で不可欠です。
工事現場ではさまざまなリスクがあり、その中でも「第三者に与える損害」は、企業にとって大きな賠償負担となる可能性があります。
賠償責任保険は、こうしたリスクに備え、事故発生時に迅速に対応できるよう設計されているため、加入する意義は大きいです。特に、通行人が工具の落下で負傷したり、周辺の建物や車両が損傷するなどの事態において、保険があることで迅速に問題を解決でき、企業の信頼を損なうリスクも軽減されます。
また、事故を起こしてしまった場合の補償があることで、元請企業との取引にも安心感を提供でき、結果として事業運営が円滑に進むでしょう。こうした理由から、賠償責任保険は工事に携わる企業にとって欠かせない存在といえます。
元請企業が賠償責任保険に加入していても、下請業者の作業による事故について元請が必ずしも賠償責任を負うとは限りません(民法第716条本文)。
元請に過失がない場合、被害者への賠償責任は実際に事故を起こした下請業者自身が負います。このため、一人親方や中小の下請業者であっても賠償責任保険に加入し、自身の事業を守る必要があります。
元請契約時に保険加入が求められるケースも増えており、信用確保の面からも加入が望まれます。

ここでは、賠償責任保険でどのようなリスクに備えられるのか、具体的な補償内容を見ていきます。
賠償責任保険では、以下の補償が受けられます。
補償される主な内容:
賠償責任保険は、工事中に発生する第三者への損害を補償します。例えば、以下のようなリスクが補償対象です。
作業中に工具や資材が誤って落下し、通行人や近隣住民にケガを負わせてしまった場合などが対象となります。人身事故が発生すると、治療費や慰謝料など高額な賠償責任が発生する可能性があります。
補償内容には、治療費、入院費、慰謝料、休業損害などが含まれます。
足場の崩壊や作業ミスによって、隣接する建物や施設を損壊した場合も補償の対象です。市街地での工事では、周辺の施設に近接して作業を行うため、こうした事故のリスクが高まります。
補償内容には、建物や設備の修理費、代替施設の利用費用などが含まれます。
解体工事現場で、作業中に発生したコンクリートの破片が飛散し、近くの駐車場に停めてあったハイエースに当たってしまいました。
この事故で、車両の運転席ドアとフロントガラスが損傷し、修理が必要な状態となりました。破片の飛散防止に細心の注意が必要ですが、予期せぬ形で近隣の車両に被害を与えてしまったケースです。
車両の修理費用に加え、修理期間中の代車費用も含め、請負業者賠償責任保険から約72.9万円が支払われ、被害者への賠償に充当されました。
既存建物の地盤沈下を修正する特殊工事において、埋め戻し作業の不備により敷地内の埋設配管を破損し、配管の交換工事が必要となった事例です。
地盤沈下補修工事で充填材の施工不良があり、十分に空隙が埋められなかったため地中配管が圧力で破損しました。
請負業者のミスが原因で第三者(施主)の財物(設備配管)に損害が生じたケースで、請負業者賠償責任保険から約426.6万円が支払われ、被害配管の交換費用に充てられました。
工事現場内外での作業車両による損害も補償されます。例えば、クレーン車の操作中に隣接する建物を破損したり、資材運搬中に近隣の車両を傷つけたりした場合です。
基礎解体工事でリース(借用)した重機を操作中に操作ミスがあり、重機のアーム部分を大きく傷つけ、修理が必要になった事故です。
重機の所有者であるリース会社に対し、借用者である施工業者が損害賠償義務を負うケースで、通常の請負業者賠償責任保険では借用中の機械損壊は補償対象外ですが、借用財物損壊特約を付帯していたため、約137.5万円が保険金として支払われ、リース会社への修理費賠償に充当されました。
賠償責任保険は万能ではありません。補償されないケースも理解しておくことが重要です。
主な免責事項:
工事が完成し、引き渡しを終えた後に建物や設備の欠陥が発覚した場合の損害は、賠償責任保険では補償されません。このようなリスクに対しては、生産物賠償責任保険(PL保険)が必要です。
工事による地盤沈下や振動が原因で、周辺の施設や土地に損害を与えた場合は、通常は賠償責任保険の対象外です。
土地の掘削や基礎工事に伴う地盤沈下・隆起・振動等で周辺土地建物に生じた損害や、近隣井戸の枯渇なども標準補償には含まれません。
ただし、地盤沈下等危険補償特約を付帯することで、これらのリスクを補償対象とすることが可能です。
地震や台風などの自然災害が原因で発生した損害も、一般的に補償の対象外です。
上記の「補償されない損害」の一部については、特約の付帯によって補償対象に拡張することも可能です。
工事の実態に応じて適切な特約を付けることで、標準約款では免責となるリスクにも備えることができます。
賠償責任保険だけでは、すべてのリスクに対応できるわけではありません。そのため、以下のような他の保険と併用することで、より包括的なリスク管理が可能になります。
建設工事保険は、工事中の建物や資材そのものが損害を受けた場合に補償する保険です。例えば、台風で足場が倒れたり、火災で建物が焼失したりするリスクに対応します。
労働災害が発生した場合、作業員に対する補償を強化するための保険です。法定の労災保険だけでは補償が不十分な場合に、企業側の負担を軽減します。
建設機械や重機などが故障や事故で損害を受けた場合に補償する保険です。高価な機械を使う工事では、機械保険も併せて検討することが重要です。
賠償責任保険には複数の種類があり、それぞれ異なるリスクに対応しています。

請負業者賠償責任保険は、工事現場で作業中に発生する第三者への損害を補償します。
工事遂行中に起きる事故をカバーするため、建設業に携わる企業にとって最も基本的な保険といえます。保険期間中に日本国内の工事・作業の遂行に起因して生じた対人・対物事故のみを補償対象とします。
引渡し後の事故や国外での事故は対象外です。
工事現場では、作業中に工具が落下して通行人にケガを負わせたり、重機の操作ミスで隣接する建物や車両を損傷させてしまう事故が起こりえます。こうした「第三者への損害」が発生した場合、施工業者は法律上の賠償責任を負うことになります。 民法第709条では「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利

生産物賠償責任保険(PL保険)は、工事完了後に引き渡した建物や製品の欠陥が原因で発生した損害を補償します。
工事後のリスクに備えるため、請負業者賠償責任保険と併せて加入することが推奨されます。
製品や工事の欠陥が原因で、第三者に損害を与えてしまったらどうしますか? 製造業や建設業では、引き渡し後に製品や建物の欠陥が発覚し、高額な賠償責任を問われるリスクが常に存在します。実際に、製品の欠陥による事故では数百万円から数千万円規模の賠償が発生しているケースも少なくありません。 この記事では、

施設賠償責任保険は、施工業者が所有または管理する施設や設備に起因する事故や損害を補償します。
事務所や倉庫などの施設で発生した事故にも対応するため、請負業者賠償責任保険ではカバーしきれないリスクに備えることができます。
工事現場には多種多様なリスクが存在します。
賠償責任保険は、こうした予測できない事故に対して、第三者への損害賠償をカバーする重要な保険です。しかし、賠償責任保険だけではすべてのリスクに対応できるわけではありません。
建設工事保険、労災上乗せ保険、機械保険など、他の保険と組み合わせることで、より包括的なリスク管理が可能になります。
また、請負業者賠償責任保険、生産物賠償責任保険、施設賠償責任保険など、それぞれの特性を理解し、自社の業務内容に適した保険を選ぶことが重要です。
元請業者だけでなく、下請け業者や一人親方も自身を守るために、賠償責任保険への加入が重要です。
民法第716条により、元請に過失がない場合は下請け業者自身が賠償責任を負うため、それぞれが保険に加入することが推奨されます。
マルエイソリューションでは、こうした賠償責任保険や工事保険の分野で、さまざまなプランを幅広くご案内可能です。
お客様のニーズに応じて最適な保険を提案できるだけでなく、安価での乗り換えやお得なパッケージプランも多数取り揃えており、多くのお客様に継続的にご利用いただいています。
また、プラン選定からアフターサポートまで、保険に関する専門知識を持ったスタッフが徹底的にサポートしますので、安心してご利用いただけます。
賠償責任保険やその他の工事保険についてさらに詳しく知りたい方、または最適な保険プランをお探しの方は、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
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