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【工事保険とは】建築・建設業向けガイド|補償内容と必要性を分かりやすく解説
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【工事保険とは】建築・建設業向けガイド|補償内容と必要性を分かりやすく解説

【工事保険とは】建築・建設業向けガイド|補償内容と必要性を分かりやすく解説 | 労災上乗せ保険

工事現場で予期せぬ事故が起きたら、どうしますか?

実際、工事中のトラブルは珍しくありません。火災や台風による被害、資材の盗難、作業ミスによる事故など、様々なリスクが潜んでいます。

そんなときに頼りになるのが「工事保険」です。「聞いたことはあるけど、詳しくは知らない」という方も多いかもしれません。

工事保険は、リスクに対する不安を和らげてくれる頼もしい味方。万が一の事態に備えることで、工事を安心して進められるようサポートしてくれます。

工事保険にはいろいろな種類があり、建設工事保険や土木工事保険、組立保険などがあります。どれを選べばいいのか、何をカバーしてくれるのか、自分の工事に本当に必要なのか、疑問には思うけど難しくてよく分からないという方もいるのではないでしょうか。

大切なのは、工事の規模や種類に合わせて最適な保険を選ぶことです。

この記事では、工事保険の基本から、そのメリット、実際の活用シーンまで、わかりやすくお伝えしていきます。これを読めば、自分たちに必要な保険が理解できるでしょう。

工事保険とは?

工事保険とは、建設工事や土木工事の現場で発生するリスクをカバーするための保険です。工事中に起こる火災や盗難、自然災害といった予期せぬ事故や損害を補償します。特に大規模工事においては、こうしたリスクが高まるため、保険加入が重要となります。具体的には、以下のようなリスクに備えることができます。

  • 自然災害(台風、地震など)による損害
  • 火災や爆発による損害
  • 盗難や破壊行為による損害
  • 工事ミスによる損害
  • 第三者への賠償責任

こういったリスクは、工事の規模が大きくなればなるほど、発生する可能性も高くなります。工事には予想外の出来事がつきものですが、工事保険があれば、そうした不安も軽減できます。

次の章では、工事保険がなぜ必要なのか、もう少し詳しく見ていきましょう。

なぜ工事保険が必要か?

工事保険が必要とされる主な理由は、以下の4つに分けられます。

それぞれの理由について、詳しく解説していきます。

建設現場の高い事故リスクから身を守る

建設業は他の業種に比べて、労働災害の発生率が特に高い傾向があります。

厚生労働省の2023年の統計によると、建設業の労働災害による死亡者数は223人で、全産業の29.5%を占めています。つまり、全産業の中で最も多くの方が亡くなっているのが建設業なのです。また、2024年8月の速報値では、建設業での死亡者数が120人と報告されており、前年同期比で15.4%も増加しています。

これらの数字を見ると、建設現場の危険性が如実に表れていますね。

このような高いリスクを抱える建設現場で、工事保険はとても重要な役割を果たします。工事保険に加入することで、予期せぬ事故や災害が発生した際の経済的な打撃から守ることができます。

発注者からの信頼を高める

工事保険には、もう一つ大切な役割があります。それは、発注者や顧客からの信頼を得ることです。

例えば、家を建てる際に、保険に入っている会社と入っていない会社があったら、どちらを選ぶでしょうか。多くの人が、保険に入っている会社を選ぶはずです。

それはなぜでしょう?

「万が一の時にもしっかり対応できる会社だ」という印象を与えられるからです。これは、会社としての責任感や信頼性を高めることにつながります。

法令遵守で安心・安全な工事現場

実は、工事の規模や種類によっては、工事保険への加入が法律で義務付けられていることもあります。これは、工事に関わる全ての人の安全を守るためなのですね。

つまり、工事保険に加入することは、法的な要求に応えるという意味もあるのです。

安心して工事に集中できる環境づくり

工事保険があれば、万が一の事態に備えているという安心感が生まれます。その結果、現場の作業員たちも、余計な心配をせずに仕事に集中できるようになります。これは、工事の品質向上や効率アップにもつながる大切なポイントです。

工事保険は、単なる「万が一のための備え」ではなく、従業員の方たちが「安心して工事に集中できる環境づくり」を支えているんですね。

いかがでしょう。工事保険の必要性がお分かりいただけたでしょうか?

では、具体的にどんな特徴や種類、補償内容があるのか、詳しく見ていきましょう。

工事保険の種類と特徴

工事保険には様々な種類がありますが、大きく分けると「工事中の建物・資材を守る保険」「第三者への賠償責任をカバーする保険」「従業員の安全をサポートする保険」の3つに分類できます。

工事保険の種類と特徴の図解

 

①工事中の建物・資材を守る保険

この保険は、「モノ」に対する損害をカバーする保険です。他の保険が人や第三者に対する補償を主な目的としているのに対し、この保険は工事の対象物そのものを守ることに特化しています。

建設工事保険

ビルや住宅などの建築工事で使われる保険です。工事中の建物や資材が火災や盗難、自然災害などで損害を受けた場合にカバーします。

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②第三者への賠償責任をカバーする保険

工事現場は、周囲の人や物にも影響を与える可能性があります。「第三者への賠償責任をカバーする保険」は、工事が原因で周囲の人や物に損害を与えてしまった際に、その責任を補償する保険です。先ほどご紹介した「工事中の建物・資材を守る保険」が工事そのものを守るのに対し、この保険は周囲への影響に焦点を当てています。

主に以下の2種類があります。

請負業者賠償責任保険

第三者に対する対人・対物賠償をカバーする保険です。工事中に発生した事故により、第三者に対して負う法律上の損害賠償責任を補償します。例えば、工事現場から飛び出した資材が駐車中の車を傷つけた場合などが対象となります。

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生産物賠償責任保険(PL保険)

引き渡し後の事故による賠償リスクをカバーする保険です。工事完了後に、その工事の結果が原因で発生した事故による賠償責任を補償します。例えば、建設した建物の欠陥により事故が発生し、施主や利用者が被害を受けた場合などが対象となります。

これらの保険は、工事の種類や規模、周辺環境などによって適切なものを選択します。例えば、市街地での建築工事では周辺への影響が大きいため、請負業者賠償責任保険が重要になります。一方、大規模な公共施設の建設では、完成後の安全性も考慮して生産物賠償責任保険も検討する必要があります。

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③従業員の安全をサポートする保険

工事現場では、建物や資材、周囲への影響だけでなく、そこで働く従業員の安全も非常に重要です。「従業員の安全をサポートする保険」は、工事に携わる従業員が事故やケガに遭った際に、その補償をカバーする保険です。先ほどご紹介した保険が物や第三者への補償を主な目的としているのに対し、この保険は従業員の安全と補償に焦点を当てています。

従業員のケガや病気に備える「労災上乗せ保険(業務災害保険・任意労災保険)」

政府の労災保険に追加して、従業員が負ったケガや病気に対する補償を強化する保険です。会社として追加で加入し、特に大規模工事や高リスクの作業現場で従業員の安全を守るために活用されます。
「労災上乗せ保険」や「業務災害保険」、もしくは「任意労災保険」とも呼ばれます。

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従業員への補償を強化する「法定外補償保険」

政府労災に上乗せして支給される補償で、重いケガによる長期療養や家族への生活サポートなどに対応します。従業員のリスクに合わせて企業が柔軟に導入できるため、導入が増えています。

従業員からの賠償請求に備える「使用者賠償責任保険」

従業員が業務中の事故で会社に賠償を求めた場合のリスクに備えるもので、労災の上乗せ的な役割を果たします。特に高額な賠償が発生しやすい建設業界で近年重視されている保険です。

従業員の災害全般に備える「労働災害総合保険」

労災上乗せ保険や使用者賠償責任保険を一括した総合保険で、通勤途中の事故も含め、従業員に関する労災リスクを広範囲にカバーします。補償内容としては、障害による損害や休業補償、遺族への補償も含まれています。

工事保険の対象例

ここでは、工事保険の3つの主要なタイプごとに、具体的にどのような事故が補償の対象となるのか、代表的な例を5つずつご紹介します。

工事中の建物・資材を守る保険の事例

この保険は、工事中の建物や使用する資材そのものへの損害を補償します。以下のような事故が対象となります。

「モノ」への損害対象
  1. 建設中の建物が台風で損壊
  2. 工事現場で火災が発生し、建築中の建物が焼失
  3. 夜間に工事現場から高価な資材や機材が盗難
  4. 豪雨により工事現場が冠水し、資材が水没
  5. 工事中の建物に落雷が直撃し、設備が損傷

第三者への賠償責任をカバーする保険の事例

次に、工事が原因で第三者に損害を与えてしまった場合の補償を行う保険です。以下のような事故が対象となります。

「第三者」への損害対象
  1. 工事現場から資材が落下し、通行人がケガ
  2. 重機の操作ミスで隣接する建物を損傷
  3. 工事の振動により近隣の建物にひびが入る
  4. 工事車両が一般車両と接触事故
  5. 掘削工事により近隣の地盤が沈下

従業員の安全をサポートする保険の事例

最後に、工事現場で働く従業員の安全を守る保険です。以下のような事故が対象となります。

「従業員」への損害対象
  1. 足場から作業員が転落し重傷
  2. 重機による挟まれ事故で従業員が負傷
  3. 炎天下の作業中に熱中症で従業員が倒れる
  4. 資材の落下により作業員が頭部を負傷
  5. 長期の粉じん作業により従業員が職業病を発症

工事現場のリスクを総合的にカバーする最適な保険を

工事保険は、建設現場の多様なリスクから皆さんを守る頼もしい味方です。
建物や資材の損害、第三者への賠償責任、従業員の安全など、様々なリスクに対応する保険が存在し、適切な保険選びが安全で円滑な工事の鍵となります。

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