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その他(1 ページ目)|保険の基礎知識|工事保険比較WEB

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解体工事のアスベスト被害は保険で補償されない?正しい保険の種類と制度を解説

「うちの会社は、ちゃんと工事保険に入っているから大丈夫」 解体工事におけるアスベスト対策について、もし、そうお考えでしたら、一度お手元の保険証券を確認してみてください。 その保険証券の小さな文字で書かれた部分に、「アスベスト(石綿)による損害は補償の対象外」という一文が見つかるかもしれません。 実は、多くの事業者が加入されている一般的な工事保険では、アスベストが原因の事故は補償の対象外となっていることがほとんどなのです。 この記事では、そんな「もしも」の事態に備えるために、 アスベスト事故で起こりうる経営リスク 一般的な工事保険がなぜ使えないのか 本当に役立つ保険・保証制度の種類と内容 について、工事保険のプロが分かりやすく解説していきます。 読み終える頃には、貴社が今すぐ取るべき対策がスッキリわかるはずです。 【解体工事の常識】アスベスト関連の損害は一般的な工事保険では補償されない 実は、解体工事に潜むアスベストのリスクは、年々、より大きなものになっています。 そのため、元請業者様には、協力会社の安全管理体制も含めて、より一層の注意が求められるようになっています。 もし、アスベストによる健康被害や飛散事故が起きてしまうと、損害賠償額が数千万円から億単位にのぼるケースも考えられます。 「うちはしっかり保険に入っているから、万一のときも安心だ」 多くの方がそう信じていますが、ここに一つ、注意しておきたい点があります。 一般的な工事保険の「落とし穴」とは? ほとんどの事業者が加入している、いわゆる「工事保険」や「賠償責任保険」。 これらは、工事中の事故によって第三者の身体や財産に損害を与えてしまった場合に備えるための保険です。 しかし、これらの保険の約款をよく読むと、「アスベスト、PCB、ダイオキシン等の有害物質による損害については、保険金をお支払いしません」という趣旨の免責条項が、ほぼ必ず書かれています。 つまり、普段加入している保険が、アスベスト関連の事故では使えない可能性がある、ということです。 なぜアスベストは「対象外」とされるのか? なぜ、これほど大きなリスクであるはずのアスベストが、一般的な保険では補償されないのでしょうか。 主な理由は2つあります。 損害の予測が難しいから: アスベストによる健康被害は、数十年という長い潜伏期間を経て発症することがあります。いつ、誰に、どのくらいの規模の被害が出るのかを予測するのが極めて難しいため、保険会社はリスクを計算できず、補償の対象から外しているのです。 汚染の範囲が広がりやすいから: アスベストは極めて細かい繊維のため、一度飛散すると広範囲に拡散し、除去(原状回復)にも莫大な費用がかかります。この損害の大きさが、通常の保険でカバーできる範囲を大きく超えてしまうことも理由の一つです。 この点は、ぜひ知っておいていただきたい大切なポイントです。 では、私たちはこのリスクにどう向き合えばよいのでしょうか? 解体工事で想定すべきアスベストの3大リスクと具体的な保険・保証制度 アスベストに関連する事業リスクは、大きく分けて、 第三者への賠償 想定外のコスト増 従業員の健康被害 の3つに分類でき、それぞれに対応する保険や保証制度があります。 一つずつ、具体的に見ていきましょう。 ①第三者賠償・環境汚染のリスク:AIG損害保険「アスベスト飛散事故補償特約」 もし、解体工事中にアスベストが飛散し、近隣住民の方の健康や周辺の建物に影響を与えてしまった場合、その賠償責任は非常に大きくなる可能性があります。 特に、元請事業者は下請けが起こした事故であっても、その責任を免れることはできません。 この第三者への賠償リスクに備えるために現在利用できる主な手段が、AIG損害保険の事業賠償・費用総合保険(ALL STARs)の「アスベスト飛散事故補償特約」です。 これは、一般的な賠償責任保険では対象外だったアスベスト飛散事故を正面から補償する特約です。 具体的には、以下のような費用が補償対象となります。 石綿損害拡大防止費用 飛散を食い止めるための養生シート補修など、緊急措置にかかった費用 石綿損害見舞費用 近隣の住民や事業者への見舞金 石綿除去等費用 近隣の建物や物品に付着したアスベストの除染や廃棄にかかる費用 この特約を付けておくことで、これまで自社で対応するしかなかった飛散事故後の初動対応から、周辺への補償までカバーできるようになります。 AIG損害保険株式会社の ALL STARsは当社でもお取り扱いしております。 ②想定外のアスベスト除去費用:損害保険ジャパン「アスベストコストキャップ保証」 この制度は、当初の想定よりもアスベストの量が多く、除去費用が追加でかかってしまう、という事態に備えるための保証制度です。 解体工事では、設計図書には記載がなかった場所から、新たにアスベストが見つかるケースも珍しくありません。 そうなると、工期の延長や追加の除去費用が発生し、元請業者様や施主様にとって大きな負担となってしまいます。 こうした「想定外のアスベスト出現によるコスト増」というリスクに備える国内初のサービスが、損害保険ジャパンと環境コンサルティング会社のフィールド・パートナーズが共同開発した「アスベストコストキャップ保証」です。 参考:株式会社フィールドアンドパートナーズ「保証業務」 これは保険というより「保証サービス」に近い仕組みで、事前に専門家によるリスク評価を受けた上で、万が一、想定を超えるアスベスト除去費用が発生した場合でも、その超過分が保証されます。 これにより、事業者は「これ以上の費用はかからない」という上限額を確定させた上で、安心して工事を進めることができます。 プロジェクトの予算オーバーという直接的な経営リスクを防ぐ上で、非常に役立つ制度です。 ③従業員のアスベスト健康被害:政府の「労災保険」と民間の「上乗せ保険」 アスベストを扱う作業は、作業員の健康にとって大きなリスクを伴います。 そのため、従業員や一人親方への労災対策は、事業者にとって大切な責務です。 このリスクに対する基本の備えは、国が管掌する「労働者災害補償保険(労災保険)」です。 従業員が業務を原因としてアスベスト関連の病気になった場合、治療費や休業中の給与の一部が労災保険から支払われます。 しかし、国の労災保険でカバーされるのは、あくまで基本的な補償です。 万が一、会社の安全管理体制に不備があったとされ、従業員やその遺族から慰謝料など高額な損害賠償を請求された場合、その費用を労災保険だけでカバーするのは難しいでしょう。 その不足分を補う役割を果たすのが、民間の「労災上乗せ保険(業務災害総合保険)」です。 この2つの保険を組み合わせることで、従業員への補償と会社の賠償リスクの両方に、より手厚く備えることができるのです。 【経営者・一人親方へ】従業員と自分を守る「労災保険」活用の知識 3つのリスクのうち、特に経営者や従業員の人生に直接関わってくるのが、この「労災保険」の問題です。 国の制度だからと安心するのではなく、その仕組みと、どこまでカバーされるのかを正しく理解しておくことが大切です。 国の「労災保険」で補償されること(治療費・休業補償) 国の「労災保険」は、労働者を守るための強力なセーフティーネットです。 業務中や通勤中のケガはもちろん、アスベスト関連の疾病のように、業務が原因で発症した病気も補償の対象となります。 主な補償内容は以下の通りです。 療養(補償)給付 治療にかかる費用は、原則として全額が給付されます。健康保険のような自己負担はありません。 休業(補償)給付 療養のために働けず、給与を受けられない日が4日以上続く場合、4日目から休業前の給与の約8割に相当する額が支給されます。 障害(補償)給付・ 遺族(補償)給付 後遺障害が残った場合や、死亡に至った場合には、その後の生活を支えるための年金や一時金が給付されます。 このように、従業員に対する補償は手厚いものですが、注意すべき点があります。 この制度は、あくまで「労働者」を対象としています。 つまり、会社の経営者や役員、そして一人親方といった方々は、原則としてこの補償の対象外なのです。 これらの立場の方が業務中の災害から身を守るには、「特別加入制度」に自ら申請し、加入しておく必要があります。 もしこの手続きを忘れていると、万が一の際に公的な補償が受けられず、治療費や休業中の収入もすべて自己負担になってしまう可能性があります。 国の補償だけでは足りない!慰謝料などに備える「労災上乗せ保険」 国の労災保険が手厚いセーフティーネットであることは事実です。 しかし、それだけでは会社が負うべき責任のすべてをカバーできるわけではない、という点も知っておく必要があります。 もし、労災事故の原因が会社の「安全配慮義務違反」にあると判断された場合、被災した従業員やその遺族から、民事上の損害賠償を請求される可能性があります。 国の労災保険から給付されるのは、治療費や休業補償といった実費補填が中心です。 精神的苦痛に対する「慰謝料」や、事故がなければ将来得られたはずの収入である「逸失利益」といった、労災保険の枠を超える部分については、会社が直接支払う責任を負います。 過去の判例では、数千万円から1億円を超える賠償命令が出ることも珍しくありません。 この、会社の存続にも影響を与えかねない賠償リスクに備えるのが、民間の「労災上乗せ保険(業務災害総合保険)」に含まれる「使用者賠償責任補償」なのです。 これに加入しておくことで、万が一、高額な損害賠償を命じられた場合でも、その賠償金を保険でカバーできます。 従業員を守り、そして会社そのものを守るためにも、「国の労災保険」と「民間の上乗せ保険」は、セットで加入しておくことをお勧めします。 アスベスト問題を機に、自社の工事保険を総点検しましょう ここまで、アスベストという特殊なリスクへの向き合い方を解説してきました。 しかし、このアスベストの問題は、自社のリスク管理全体を見直す良いきっかけになるかもしれません。 これを機に、アスベスト以外のリスクも含めて、現在加入している工事保険が本当に会社の状況に合っているのか、一度見直してみてはいかがでしょうか。 自社のリスクを洗い出し、現在の保険の「穴」を見つける まずは、お手元にある保険証券を広げ、内容を隅々まで確認することから始めてみましょう。 「石綿」の文字を探すのはもちろんですが、それ以外にも見落としがちなポイントがいくつかあります。 地盤沈下や振動による損害: 解体工事に伴う掘削や振動が原因で、隣の建物にひびが入った…。こうしたケースは、標準的な賠償責任保険では「免責」とされ、補償されないことが少なくありません。 管理下の財物への損害: 工事中、お客様から一時的に預かった家財や、借りている重機を誤って壊してしまった場合も、通常の賠償保険ではカバーされません。 補償限度額は十分か: 「対人賠償1億円」で契約していても、大きな事故が起これば、その額では全く足りない可能性があります。現在の事業規模や、元請けから要求される基準に照らして、保険金額が妥当かどうかを再評価する必要があります。 これらの項目が、ご自身の保険でどのように扱われているかを確認するだけでも、潜んでいるリスクが見えてくるかもしれません。 解体工事の保険見直しは以下の記事でも解説しています。 保険料をうまく抑える「団体割引」の活用 「補償を手厚くすれば、当然、保険料も高くなる」。 そうお考えになるのはもっともです。 しかし、保険料は契約の仕方一つで大きく変わることがあります。 その代表例が「団体割引」の活用です。 多くの建設業組合や商工会議所では、会員向けに団体契約の保険制度を用意しています。 こうした制度を利用すると、個別に契約するよりも保険料が大幅に割安になるケースが多く、条件次第では30%から、時には80%近くも保険料を抑えられることがあります。 (参考:マルエイソリューション) もし現在、保険会社と直接、個別に契約しているのであれば、一度、所属している組合などの制度を確認してみることをお勧めします。 補償内容はそのままに、固定費である保険料を削減できるかもしれません。 最適な工事保険を選ぶなら、事業を理解する専門家への相談が近道 アスベスト特約の要否、複雑な免責事項の確認、適切な補償額の設定、そして利用できる割引制度の選定…。 これらすべてを経営者様ご自身で判断し、最適解を導き出すのは、簡単なことではありません。 保険の世界は、私たちが思う以上に複雑で、専門的な知識が求められる場面が多くあります。 だからこそ、事業用の保険は専門の代理店に相談することが、結果的に最も確実で安心な方法だといえるでしょう。 専門家は、単に保険商品を売るだけではありません。 貴社の事業内容や工事の規模、潜在的なリスクを客観的に分析し、本当に必要な補償と、逆に削っても問題ない補償を仕分けしてくれます。 複数の保険会社の商品の中から、最適な組み合わせを提案し、気づかなかったリスクの「穴」を塞いでくれる、頼れるパートナーとなるはずです。 まとめ:アスベスト保険の備えは解体工事業者の信頼の証 ここまで解説してきたように、解体工事におけるアスベストのリスクは、一般的な工事保険の常識が通用しない、特殊で注意が必要な問題です。 本記事の重要なポイントを、最後にもう一度振り返りましょう。 一般的な工事保険では、アスベストによる損害は「免責」となり、原則補償されない。 「第三者賠償」「コスト増」「労災」という3大リスクには、それぞれ専門の保険・保証制度を組み合わせる必要がある。 経営者自身が労災の補償を受けるには「特別加入制度」への加入が必須。 国の労災だけでは不十分で、高額賠償に備える「労災上乗せ保険」が不可欠。 アスベスト問題を機に、保険全体の「穴」や「割引活用の可能性」を総点検すべき。 これらの対策は、どれか一つだけ行えば良いというものではありません。 自社の事業内容に合わせて、必要な備えを複合的に構築していくことが大切です。 「うちの会社には、どの保険の組み合わせがベストなんだろう?」。 「そもそも、今の保険証券のどこをどう見ればいいのか分からない…」。 もし、こうしたお悩みや疑問をお持ちでしたら、ぜひ一度、工事保険比較Web(マルエイソリューション)でご相談ください。 マルエイソリューションの強み コスト削減に自信あり!: 独自の団体割引(入会費・年会費無料の「マルエイ取引先協力会」など)や、保険会社ごとのプラン比較により、保険料の大幅な削減を目指せます。 豊富な選択肢から最適プランをご提案: 国内外の主要保険会社・40以上の商品の中から、お客様の重機の種類や使用状況、リース契約の有無などを踏まえ、過不足のない最適な補償プランを公平な視点で厳選します。 安心の実績とサポート: これまで多くのお客様の保険選びをお手伝いし、継続率95%以上という高いご支持をいただいています。 長年の経験と豊富な専門知識を持つプロフェッショナルが、お客様の会社の状況やご要望を丁寧にヒアリングし、最適な保険プランとコスト削減策をご提案します。 ご相談やお見積もりは無料です。 オンラインでのご相談も承っておりますので、全国どこからでもお気軽にお問い合わせください。

【塗装工事向け】その保険は本当に適正?費用削減法と本当に必要な補償を教えます

塗装業を営む経営者の方や、一人親方の皆様も、 「うちの会社の保険、これで本当に大丈夫なのだろうか」 「万が一の事故に備えたいけれど、どの保険を選べばいいか見当もつかない」 「毎月の保険料、もう少し何とかならないものか」 こうした悩みを一度は抱かれたことがあるのではないでしょうか。 塗装工事の現場では、塗料の飛散や足場からの資材落下といった、誰もが想像する事故以外にも、実は、想像していなかったようなトラブルがあります。 万が一の際に、「そこまで想定してないのでカバーできてない」とならないよう、しっかりと備えておくことが大切です。 この記事では、塗装工事の現場に潜む、事故の事例や特有のリスクから、本当に必要な保険の種類、そしてコストを抑えつつ最適な備えを実現するための保険の選び方・使い方まで、具体的なヒントを保険の専門家が分かりやすくお伝えします。 特に一人親方や小規模事業者の方が押さえておくべき点も解説しますので、ぜひ最後までお読みください。 この記事でわかること 塗装工事の現場で、実際にどのような事故が起こる? 事故やトラブルが経営に与える影響と、なぜ備えが大切? 塗装工事で検討しておきたい保険の種類と、それぞれの補償内容は? コストを抑えながら、必要な補償をしっかり確保する保険の選び方・見直し方とは? 万が一事故が起きてしまった時はどうすればいい? 塗装工事の現場では、どんな事故が起こりうる? 塗装工事と聞くと、多くの方は塗料が飛んで近くの車を汚してしまったり、足場から物が落ちてしまったりといった事故を思い浮かべるかもしれません。 しかし、実は日々の作業に使う機械や設備のトラブルも、リスクとしてあるのです。 以下は工事保険比較WEB(マルエイソリューション)取り扱った、実際に保険金の支払いが発生した塗装工事の事故の事例です。 塗装用機械内部で材料が固まって故障 吹き付け機で材料を調合した際、配合ミスにより機器内部で原料が硬化し、作業を続行できなくなりました。 断熱材スプレー装置ホースを破損 断熱材スプレー装置使用中に、ホースが何かに引っかかり、ホースに穴が開いてしまいました。修理費用支払いが発生しました。 現場作業中、機械モジュールに水が入り故障 工事現場での作業中、使用していた機械のモジュール部分に水が混入し、特殊塗装機械が動作しなくなるという事故が発生しました。 塗料の飛散といった第三者への影響だけでなく、機械の故障や破損によっても、修理費用や作業の遅れ、代替機の手配など、予期しない損害が出てしまう可能性があるのです。 これらのリスクを甘く見ず、対策を立てることが大切です。 なぜ保険が必要?塗装工事の事故が経営に与える影響 塗装工事中に発生する事故やトラブルは、被害者への補償だけでなく、経営全体に影響を及ぼす可能性も考えられます。 金銭的損失だけじゃない!事故がもたらす4つの影響 塗装工事中の事故は、実は、時に深刻な金銭的損失や事業運営への大きな支障を引き起こします。 高額な賠償責任の発生 塗料飛散や足場事故などで第三者に損害を与えた場合、数百万から数千万円規模の賠償が必要になることもあり、自己資金だけでの対応は非常に困難です。 追加費用の発生と売上減 工事のやり直し費用や、事故対応による休業期間中の売上減少、固定費の支払いも経営を圧迫します。 信用の低下と受注への影響 事故は顧客や元請けからの信頼を損ない、新規受注の減少や取引条件の悪化に繋がる可能性があります。 行政処分や従業員への影響も 事故内容によっては行政処分を受けるリスクや、従業員の士気低下・離職といった問題も起こり得ます。 これらの損害から回復するには多くの時間と労力が必要です。 だからこそ、日頃の安全対策と並行し、万が一の経済的ダメージを最小限に抑える保険への加入が大切です。 保険は、高額な賠償をカバーし事業継続を助けるだけでなく、事故対応の負担軽減というメリットもあります。 一人親方・小規模事業者は特に注意!小規模ならではの特有リスク 一般的な塗装工事のリスクに加え、一人親方や小規模で事業を運営されている方には、事業の規模が小さいからこそ、より深刻な影響を受けやすい問題があります。 例えば、次のような事態が考えられます。 経営者自身が事故にあうと、即、仕事がストップしてしまう。 代わりの人がいないため、工期が遅れたり、最悪の場合、契約を守れなかったりする。 事故が起きた際の賠償金や修理費用の負担が、経営を直接圧迫する。 日々の業務が忙しく、安全対策や保険についてじっくり考える時間が取れない。 こうした状況を考えると、やはり保険による備えは欠かすことができません。 例えば、ご自身が万が一ケガをした場合に備える労災保険の特別加入制度や、働けなくなった時の収入を支える所得補償保険は、事業とご自身の生活を守る上で、とても頼りになります。 事業の規模が小さいからこそ、これらの特有の事情をしっかりと認識し、どのような保険が必要なのかを検討することが、安心して事業を続けていくための鍵となります。 塗装工事で本当に必要な保険は?4つの保険と補償内容 塗装工事に伴う様々なリスクに備えるためには、具体的にどのような保険があり、それぞれの保険がどのような範囲を補償してくれるのかを理解しておくことが大切です。 特に、塗装工事を取り巻くリスクへ備えるために、主に次の4つの保険が考えられます。 賠償責任保険:第三者への損害をカバー 労災上乗せ保険:従業員やご自身のケガに備える 所得補償保険:働けなくなった時の収入を補う 機械保険(動産総合保険など):事業用機械の万が一に これらの保険をうまく組み合わせることで、工事中・引き渡し後、万が一の事故や事業用資産の損害など、様々なリスクに対応できるようになります。 第三者への損害賠償に備える「賠償責任保険」 塗装工事中や工事完了後に、お客様や近隣の住民の方、通行人といった第三者の身体や持ち物に損害を与えてしまった場合、法律上の賠償責任を負うことになります。 その際に発生する賠償金や関連費用をカバーしてくれるのが、この賠償責任保険です。 塗装業を営む上で、まず加入を検討すべきもっとも基本的な保険と言えます。 具体的には、 工事中の事故に備える「請負業者賠償責任保険」 工事完了後の事故に備える「PL保険(生産物賠償責任保険)」 の二つが中心となります。 保険の種類 補償するタイミング 具体的なケースの例 請負業者賠償責任保険 工事の作業中 塗料が飛散し、駐車中の車を汚してしまった。 足場から資材が落下し、通行人にケガをさせてしまった。 PL保険 (生産物賠償責任保険) 工事完了・引き渡し後 施工した塗装に不備があり、後日それが原因でお客様の建物に損害が発生した(例:早期の剥離による外壁材の汚損など)。 防水塗装の不備で雨漏りが発生した。 これら二つの保険は、補償する事故のタイミングが異なるため、セットで加入しておくと安心です。 従業員と経営者自身を守る「労災上乗せ保険(業務災害保険)」 塗装作業は、高所での作業など危険が伴うこともあります。 そのため、従業員の方や経営者ご自身のケガへの備えは欠かせません。 まず、従業員を雇っている場合は、国の労災保険(政府労災)への加入が法律で義務付けられています。 これは、仕事中や通勤途中のケガなどに対して基本的な補償をしてくれるものです。 一人親方の方も、特別加入制度を利用すれば、政府労災に任意で入ることができます。 しかし、政府労災だけでは補償が十分とは言えないケース(例えば、慰謝料の支払いや、休業中の給与全額の補填など)や、万が一従業員から会社に対して損害賠償を請求されるリスク(使用者賠償責任と言います)に対応するためには、民間の労災上乗せ保険((業務災害保険))への加入も考えておきたいところです。 国の労災保険だけでは足りないかもしれないこと 労災上乗せ保険でプラスできる補償の例 慰謝料、逸失利益(事故がなければ得られた将来の収入)など 休業補償の不足分をカバー 死亡時の弔慰金や遺族へのお見舞金 後遺障害が残った場合の慰謝料 会社が従業員側から損害賠償請求された場合の賠償金 建設業界では、この保険への加入がだんだんと当たり前になってきています。 働けなくなった時の収入を補う「所得補償保険」【一人親方や小規模事業者向け】 経営者自身が主な働き手である一人親方や小規模事業者の方にとって、病気やケガで長期間働けなくなると、収入が途絶え、事業の継続や生活が難しくなってしまいます。 このような「働けないリスク」に備えるのが所得補償保険です。 仕事中はもちろん、仕事以外のプライベートな時間での病気やケガで働けなくなった場合に、契約の際に決めておいた保険金が一定期間支払われ、生活費や事業の経費などに充てることができます。 特に、公的な休業補償があまり手厚くない個人事業主の方にとっては、いざという時に役立つでしょう。 事業用機械の万が一に備える「機械保険(動産総合保険など)」 塗装工事に欠かせないコンプレッサーや吹き付け機などの機械設備が、火事や盗難、運搬中や作業中の偶然の事故によって破損した場合、その修理費用や買い替え費用は大きな負担となります。 このようなリスクに備えるのが機械保険や動産総合保険です。 ただし、経年劣化や内部的な故障そのものは対象外となる場合が多いため、あくまで「事故による損害」への備えと理解しておきましょう。 高価な機械をお持ちの場合は、特に検討しておきたい保険の一つです。 元請けも自社も納得する塗装業者の保険選びと見直しのポイント 塗装工事の保険は、ただ加入すれば良いというものではありません。 元請け会社からの要望に応えつつ、自社のリスクをしっかりカバーし、さらに保険料の負担もできるだけ抑えたい、というのが本音ではないでしょうか。 ここでは、そんなバランスの取れた保険選びと管理のためのポイントを解説します。 保険選びと見直しはこの5つを抑えよう 保険は一度入ったら終わりではなく、事業の状況に合わせて見直していくことが大切です。 ここでは、以下の点を抑えましょう。 保険選びと見直しのポイント5つ リスクの把握: まずは、ご自身の事業にどのようなリスク(例:塗料飛散、足場関連、従業員のケガ、機械の故障など)が潜んでいるかを具体的に洗い出しましょう。 必要な補償内容を明確にする: 洗い出したリスクに対し、どの種類の保険で、どの程度の補償額が必要かを見極めます。 情報を集めて比較検討する: 複数の保険会社や代理店から情報や見積もりを取り寄せ、内容と保険料をじっくり比較します。 保険の専門家に相談する: 保険は複雑なため、信頼できるプロ(代理店など)に相談し、専門的なアドバイスを受けるのが賢明です。 契約、そして定期的な見直しを: 最適なプランが決まったら契約しますが、事業内容や規模の変化、新たなリスク認識に合わせて、定期的に保険内容を見直しましょう。新規開業時、元請けからの指示時、契約更新時などが主な見直しのタイミングです。 新規開業時、元請けからの指示時、契約更新時が主に保険を見直すタイミングです。 また、事業内容・規模の変更時や新たなリスク認識時にも保険を見直してみることもおすすめします。 【一人親方・小規模事業者向け】限られた予算で最大限の安心を得るには? 一人親方や従業員の少ない小規模事業者の方々の場合は、さらに押さえておきたい保険選びのポイントがあります。 「限られた予算の中で、どうすれば本当に必要な補償を確保できるか」を見ていきましょう。 まずは「国の制度」をフル活用する:労災保険の特別加入 一人親方も政府労災に特別加入できます。作業中のケガに対する治療費や休業補償が国から給付される、必須のセーフティーネットです。まずこの制度の利用を検討しましょう。一般的な労災保険に比べて保険料が比較的安価な場合が多く、基本的な補償を確保できます。 「働けなくなった…」その時の収入源を確保する:所得補償保険 経営者自身が働けなくなると収入が途絶えます。所得補償保険は、月々の生活費や固定経費をカバーしてくれます。特に公的な休業補償が手薄になりがちな個人事業主には、優先的に検討したい保険の一つです。 「もしも」の賠償に備える:賠償責任保険(請負業者賠償責任保険・PL保険) 第三者への損害賠償リスクは常に存在します。請負業者賠償責任保険やPL保険は事業を守るために不可欠。工事内容や規模に応じた適切な補償額を設定しましょう。 保険料を賢くコントロールする:免責金額(自己負担額)の設定 保険料を抑えるには免責金額(自己負担額)の設定が有効です。小損害は自己負担とし、大きな損害に備えます。ただし、無理のない範囲で設定することが重要です。 ニッチなニーズに応えてくれる選択肢を取る:業種特化型ミニ保険・共済制度 自社のリスクに合えば、補償を絞り保険料を抑えたミニ保険や、同業者団体の共済も選択肢です。一般的な保険ではカバーしきれない細かいニーズに対応していたり、特定の業種に特化した手頃なプランが見つかったりするかもしれません。 一人親方・小規模事業者だからといって、保険による備えを諦める必要は全くありません。 大切なのは、自社にとって本当に必要な補償は何かを冷静に見極め、優先順位をつけることです。 そして、分からないことは専門家にも相談しながら、確実にリスクに備えましょう。 保険料を抑える6つのポイント:団体割引や複数プラン比較がおすすめ! 保険の必要性は理解していても、毎月の保険料はできるだけ抑えたいものです。 しかし、削減ばかりを気にして、いざという時に必要な補償が受けられなくては意味がありません。 まず大切なのは、自社にとって「絶対にカバーすべきリスク」(必須補償)をしっかりと見極めることです。 例えば、第三者への高額賠償や従業員の重大な労災など、事業の継続そのものを揺るがしかねないリスクは、最優先で備えておくべきでしょう。 その上で、保険料を節約するには、以下の6つのポイントを検討しましょう。 保険料を抑えるポイント6つ 重複補償のチェックと整理: 複数の保険で同じリスクをカバーしていないか確認し、無駄な保険料を削減します。保険証券をしっかり確認し、不明な点は代理店に相談しましょう。 不要な特約の見直し: 本当に必要な特約だけに絞り込み、不要なオプションを外して保険料をスリム化します。「念のため」で付けた特約がないかチェックしましょう。 団体割引の活用: 所属する塗装業の協会などを通じた加入で、割引が適用される場合があります。個別加入に比べ10~30%以上安くなるケースも。(条件により異なります) 複数プランの比較検討: 同じ補償でも保険料は保険会社やプランで数万円単位で異なります。相見積もりで最適なプランを探しましょう。特に塗装工事は特有のリスクがあるため、より慎重に比較しましょう。 補償内容の最適化: 免責金額(自己負担額)の設定や、自社の事業規模や工事内容に照らして、本当に必要な補償への絞り込みを検討しましょう。ただし、塗装工事特有のリスクに対する備えを安易に削らないよう注意が必要です。 安全対策による割引制度: 安全管理への取り組みが、保険料割引の対象になるケースもあります。また、無事故を継続することで、更新時の保険料が割安になることも期待できます。 これらの方法を上手く組み合わせることで、保険料の負担を大きく減らせる可能性があります。 特に団体割引は、その団体に加入する事業者が増えるほどスケールメリットが働き、同じ補償内容でも割引率が向上するというメリットがあります。 実際に、私たちマルエイソリューションにご相談いただいたお客様の中には、保険全体の見直しを行った結果、年間の保険料を約80%削減できたというケースもあります。(参考:マルエイソリューション お客様の声) 保険料のコスト削減については、下記の記事でも詳しくご紹介していますので、こちらも併せてご覧ください。 万が一の事故発生!保険金請求をスムーズに進める手順と注意点 塗装工事の現場で、もしも塗料の飛散による汚損事故や、足場からの落下物による人身事故などが発生してしまった場合、どのように対応し、保険金請求の手続きを進めれば良いのでしょうか。 いざという時のために、保険金請求の一般的な流れと、特に気をつけたいポイントをまとめました。 ①事故発生直後の初期対応と安全確保 何よりもまず、人命の安全を最優先に行動します。負傷者がいれば応急手当や救急車の手配を。二次被害を防ぐため、作業を中止し、危険箇所への立ち入り禁止措置や、飛散防止養生の再確認・補強などを行います。重大事故の場合は警察・消防へも通報します。 ②証拠の保全を徹底する 事故現場の状況を捉えた写真や動画は、保険金請求に不可欠な証拠です。損害箇所(汚損した車、破損物、ケガの状況など)だけでなく、現場全体の様子も多角的に、日付と共に記録しましょう。目撃者がいれば、話を聞き、連絡先と共に記録することも有効です。客観的な記録が後の手続きを助けます。 ③保険会社(または代理店)への迅速な連絡 保険証券などを準備し、事故発生後、できる限り速やかに保険会社または保険代理店へ第一報を入れます。報告が遅れると、保険金の支払いに影響が出たり、最悪の場合、補償対象外となったりする可能性もあるため注意が必要です。契約上の報告義務や期限も確認しましょう。 ④損害状況の確認と修理見積もりの手配 物損事故(塗料による汚損、器物破損など)で修理や清掃が必要な場合、保険会社の指示のもと、できれば複数の専門業者から見積もりを取得します。これにより費用の妥当性が確認でき、保険会社との交渉も円滑に進めやすくなります。保険会社の承認なく修理や清掃を進めないよう留意します。 ⑤示談交渉の進行と保険金の受領 第三者が関わる対人・対物事故では、損害賠償に関する話し合い(示談交渉)が必要となることがあります。加入保険に示談代行サービスが付帯しているか事前に確認しておくと、万が一の際の心労や負担が大きく軽減されます。示談がまとまり、必要書類を提出すれば保険金が支払われます。 特に、事故直後の現場の状況を詳細に記録した写真や動画は、後からでは入手不可能な極めて重要な証拠となります。 事故発生時は誰もが冷静さを失いがちですが、この初期対応と証拠の保全が、「基本中の基本」と言えるでしょう。 なお、一人親方や小規模事業者の方の場合、事故の対応に割ける人手や時間に限りがあるでしょう。 万が一の事態に備え、事前に保険代理店や専門家(弁護士など)といった相談先を確保しておくこと、そして事故発生時には一人で抱え込まず、速やかにこれらの専門家の助けを求めることが、問題解決への近道となります。 まとめ:事業規模に応じて、一度塗装工事の保険を見直そう! ここまでご説明してきたように、塗装工事の現場には、塗料の飛散や足場からの落下といった分かりやすい事故だけでなく、日々の作業に欠かせない機械や設備の故障といった、見過ごされがちなリスクもあります。 万が一の事態に備えるためには、以下の保険などを事業の状況に応じて適切に組み合わせることが重要です。 基本となる備え 賠償責任保険(請負業者賠償責任保険・PL保険): 第三者への損害を補償 従業員やご自身のために 労災上乗せ保険: 国の労災保険に上乗せして手厚く補償 特に一人親方・小規模事業者の方は 所得補償保険: 働けなくなった時の収入減に備える 機械保険: 事業用機械の突発的な損害をカバー 「うちの会社にとって、本当に必要な保険は何なのだろう?」 「今の保険料、もう少し何とかならないものか…」 「元請けから指示された保険で、本当に十分なのだろうか?」 もし、こうしたお悩みや疑問をお持ちでしたら、ぜひ一度、工事保険比較Web(マルエイソリューション)でご相談ください。 マルエイソリューションの強み コスト削減に自信あり!: 独自の団体割引(入会費・年会費無料の「マルエイ取引先協力会」など)や、保険会社ごとのプラン比較により、保険料の大幅な削減を目指せます。 豊富な選択肢から最適プランをご提案: 国内外の主要保険会社・40以上の商品の中から、お客様の重機の種類や使用状況、リース契約の有無などを踏まえ、過不足のない最適な補償プランを公平な視点で厳選します。 安心の実績とサポート: これまで多くのお客様の保険選びをお手伝いし、継続率95%以上という高いご支持をいただいています。 長年の経験と豊富な専門知識を持つプロフェッショナルが、お客様の会社の状況やご要望を丁寧にヒアリングし、最適な保険プランとコスト削減策をご提案します。 ご相談やお見積もりは無料です。 オンラインでのご相談も承っておりますので、全国どこからでもお気軽にお問い合わせください。