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工事保険は現場ごとに入れる!スポット契約の加入条件と注意点

元請業者から「保険証券を提出してほしい」と言われ、急いで工事保険を調べた。

でも「現場ごとに入れる保険とは何か」「保険料はいくらかかるのか」が、なかなか分からない。

そう感じている方は少なくないでしょう。

工事保険には年間包括契約と現場ごとのスポット契約の2種類があります。

ところが検索しても年間契約の情報が多く、現場ごとの加入手順や費用感が整理されていないのが実情です。

結論からお伝えすると、現場ごと(1工事ごと)のスポット契約で工事保険に加入できます。

ただし保険会社によっては最低契約期間や最低保険料が設定されているため、「短期だから保険料は安い」とは限りません。

この記事では、スポット契約の仕組みと費用の目安、注意点、手続きの流れを、CFP・一級ファイナンシャル・プランニング技能士の専門家が整理しました。

加入のタイミングも含め、現場に入る前に必要な情報を確認できます。

この記事でわかること
  • スポット契約(現場ごと)で工事保険に加入できる仕組み
  • 業種別の保険料目安と最低保険料の仕組み
  • 最低契約期間・工期延長時の注意点
  • 保険の申込みは着工1週間前が目安
  • 年間包括契約に切り替えるべき工事件数の目安
この記事を書いた人
後藤 文男

国内大手損害保険会社で法人営業職を経験後、2013年に入社。補償内容の見直しや保険を活用した経費削減の提案など、損害保険分野のリスクコンサルを得意としている。
【保有資格】
・ファイナンシャルプランナー(CFP)
・一級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)

スポット契約とは?現場ごとに加入できる仕組みを解説

工事保険の加入方式は、「現場ごとに個別で入る」「1年分をまとめて契約する」かの大きく2つに分かれます。

まずはスポット契約の基本的な仕組みから確認しましょう。

単発工事でも工事ごとのスポット契約で加入できる

工事保険の契約方式には、主に2種類あります。

1工事ごとに個別で加入するスポット契約と、1年間に行うすべての工事をまとめて契約する年間包括契約の2種類です。

東京海上日動・損保ジャパン・三井住友海上など大手損保各社が、この2方式を案内しています。

スポット契約の特徴は、工期の長さにかかわらず1工事単位で加入できる点です。

半年・1年の長期工事はもちろん、数日・数週間の短期工事、さらには1日だけの単発作業にも対応しています。

ただし、保険会社によっては最低契約期間が設けられており、「3日だけの工事でも1週間分の保険料がかかる」という場合もあります。

この点は後ほど詳しく説明します。

スポット契約が活用されやすい現場の例を挙げると、次のとおりです。

  • 緊急の修繕工事(水漏れ・雨漏り・電気トラブルなど)
  • 機器・設備の設置・取り外し工事
  • 単発の改修・リフォーム工事
  • イベント設営・撤去作業
  • 点検・メンテナンス作業

元請から「保険証券を提出してほしい」と求められた場合も、スポット契約で対応できます。

年間包括契約への加入が難しい小規模事業者や個人事業主、一人親方にとっても、現実的な選択肢となっています。

スポット契約は工事の開始から引き渡しまで補償する仕組み

スポット契約の保険期間は、工事開始から完了(または引き渡し)までです。

損保ジャパンの建設工事保険では、保険責任は「保険期間の初日の午後4時に始まり、末日の午後4時に終わる」と定められており、引き渡しが行われた時点で保険も終了します。

工事用の材料については、現場への搬入・荷卸しが完了した時点から補償の対象となります。

保険料は、工事金額・工期・業種・工事内容などの条件によって算定されます。

「工期が短いから安い」とは必ずしも言い切れません。

保険会社には「最低保険料」の設定があり、計算上の保険料がその金額を下回っても、最低額より安くなることはないからです。

もう一点、重要なルールがあります。

工事保険は、工事が始まる前に加入しておく必要があるという点です。

工事開始後に遡って加入することはできません。

スポット契約が向いているのは工事件数が少ない現場

スポット契約は「必要な現場にだけ保険をかける」という使い方ができるため、工事件数が少ない事業者にとってコストを抑えやすい契約方式です。

件数が少ない段階では、スポット契約の方がコストを抑えやすく、繁忙期と閑散期の差が大きい業者にも向いています。

一方、年間を通じてコンスタントに工事を受注している場合は、1年分をまとめて契約する年間包括契約の方が、付け忘れの心配がなく、管理もしやすくなります。

年間契約とスポット契約など詳細な工事保険の相場について具体的に確認したい方は、以下の記事をご参照ください。

あわせて読みたい
【工事保険料の相場】単発と包括・業種別・完工高別での違いや保険料を安くする方法

「保険会社から提示された工事保険の見積もり、この金額は妥当なのだろうか?」 「そもそも工事保険っていくらくらいなの?」 「年間数十万円も払っているけど、もっと安くできる方法はないのか?」 建設業を営む経営者の方なら、一度は工事保険の保険料について、こんな疑問を抱いたことがあるのではないでしょう

スポット契約の保険料はどう決まる?業種別の目安と注意点

現場ごとに保険に入る場合、実際の保険料はどのくらいかかるのでしょうか。

まず知っておきたいのは、「工期の長さ」で保険料が決まるわけではないという点です。

業種・工事金額・補償範囲の組み合わせによって保険料は変わるため、一律の金額を示すことはできません。

短期工事でも保険料が安くならない「最低保険料」の仕組み

スポット契約では、1週間・2週間・1ヶ月など、工事の期間に合わせて自由に保険期間を設定できます。

ただし、工期が短いからといって保険料が比例して安くなるわけではありません。

「工期が1週間しかないのだから、保険料は数千円で済むはず」と考えている方は注意が必要です。

保険会社が設定する「最低保険料」の存在を知らないと、実際の見積り金額を見て驚くことになりかねません。

最低保険料とは、工期や工事金額がどれだけ小さくても保険料が下回ることのない下限値のことです。

保険会社には契約1件ごとに固定的な事務コストが発生します。

短期・少額の契約でもその費用をカバーするために、多くの保険会社が最低保険料を設定しているのです。

工事金額が小さい場合(50万円以下の小規模修繕など)に保険料が割高に感じられるのは、こうした構造的な理由によるものです。

複数の保険会社から見積りを取れば、最低保険料が低い選択肢を見つけられます。

「1社に任せれば大丈夫」ではなく、比較する姿勢が保険料を抑えるために欠かせません。

保険料の目安は業種によって大きく変わる

では、実際の保険料はどのくらいになるのでしょうか。

スポット契約の保険料は、主に業種と工事金額によって決まります。

以下は、工事金額1,000万円・賠償責任保険(基本補償)を前提とした、業種別のスポット契約1件あたりの保険料目安です。

業種 1件あたり保険料の目安
建築一式工事業 5〜8万円程度
電気工事業 5.5〜8.5万円程度
土木一式工事業 6〜9万円程度
解体工事業 15〜25万円程度

解体工事業は他業種の2〜3倍の保険料になりやすく、重機による破片の飛散や近隣家屋への損傷リスクが高いと評価されるためです。

工事保険には賠償責任保険のほかに、任意労災(業務災害保険)や建設工事保険(資材・目的物を補償)があり、どの種類の保険が必要かによって合計の保険料は変わってきます。

工事保険比較WEBでは、国内外の大手損保7社・40商品以上を横断的に比較し、ご状況に最適なプランをご提案しています。

現場ごとに加入するときの注意点と見落としがちなポイント

スポット契約で保険に加入する際、短期工事特有の注意点がいくつかあります。

最低契約期間の存在や工期延長時の手続きなど、見落としがちなポイントを整理します。

工事期間が短すぎると加入できない場合がある

スポット契約には、保険会社ごとに「最低契約期間」が設けられていることがあります。

保険会社によっては1週間未満の工事を引き受けていないケースがあり、1〜2日だけの超短期工事はそもそも加入できない場合があります。

最低契約期間の具体的な日数は公開パンフレットに明示されていないことも多く、「1日から加入できる」という保険会社もあれば、「最低1週間」という設定のところもあります。

工事期間だけでなく、工事規模や取引実績によっても引受条件は異なります。

保険会社によっては工期や工事金額に関する下限条件が設けられており、条件によっては加入を断られることもあります。

また、取引実績のない新規の事業者からのスポット契約は、審査が慎重になる場合もあります。

工事期間が短い場合や初めて保険に加入する場合は、まず保険代理店に「この工事で引受できるか」を確認することが先決です。

なお、引受は可能でも最低契約期間の設定がある場合、「工事は3日で終わる」という状況でも実質的に1週間分の保険料を支払う必要があります。

超短期工事(1〜3日程度)が年間を通じて多い場合は、スポット契約よりも年間包括契約に含めてしまう方がコスト面で有利になることもあります。

自社の工事パターンに合わせた判断が大切です。

工期が延びたら満了前に延長手続きをしないと無保険状態になる

スポット契約で加入した場合、当初の予定より工期が延びると、保険期間も延長する手続きが必要になります。

損保ジャパンの土木工事保険パンフレットでは、「工事を追加、変更、中断、再開または放棄する場合」は事前に代理店または損保ジャパンへ通知する義務があり、「通知や追加保険料の支払いがないまま事故が発生した場合、保険金をお支払いできないことやご契約が解除されることがある」と明記されています。

出典:損保ジャパン「土木工事保険のご案内」

この手続きを忘れた場合、保険期間が切れた状態で工事が続く「無保険状態」になりかねません。

保険の補償は保険期間内に発生した事故が対象であるため、満了後に事故が起きても支払いの対象外となる可能性があります。

工期の延長が見込まれると分かった段階で、すぐに保険代理店に連絡することが重要です。

延長期間に応じた追加保険料が発生しますが、それでも万一に備えておく方が確実といえます。

現場ごとの保険はいつまでに入ればいい?手続きの流れと必要書類

実際にスポット契約で保険に加入するには、どのような手続きが必要でしょうか。

申込みから着工までの流れと、手続きに必要な準備事項を整理します。

工事保険は着工前が必須で、余裕を持って1週間前までに申し込む

工事保険は、工事開始前に加入しておく必要があります。

損保各社の保険では補償の対象を「工事期間中に発生した事故」としているため、工事開始後に遡って加入することはできません。

保険法上も、事故発生を知ったうえでの遡及加入は認められないのです。

保険証券の送付には、申込み完了後から1週間〜10日程度かかるのが一般的です。

そのため、余裕を持って工事開始の1週間前までに申し込むことをお勧めします。

ただし、工事内容によっては工事請負契約書や工事概要書などの資料提出を求められることもあります。

見積りから申込みまでの時間に余裕が生まれるよう、工事の予定が決まった段階で早めに保険代理店へ相談しておきましょう。

見積り依頼から証券発行まで5ステップで完了する保険加入の流れ

スポット契約での保険加入は、以下の流れで進みます。

  1. 見積り依頼:工事概要を伝えて代理店に依頼する
  2. 書類提出:必要書類を提出し、見積りを取得する
  3. 比較・選定:複数社の補償内容と保険料を比較する
  4. 申込・支払:申込書を提出し保険料を支払う(補償開始)
  5. 証券受取・着工:加入証明書または保険証券を受け取り着工

必要書類については、小規模・短期工事であれば口頭での情報提供だけで見積りが出るケースも多いです。

一方、土木工事保険や大型の建設工事保険では、工事請負契約書・工事計画書・工程表・図面・地質資料などの提出を求めることがあります。

見積り依頼の際は、工事名・工事内容・工事場所・着工日・完工日・工事金額・業種・必要な補償の種類を事前に整理しておくとスムーズです。

年間の工事件数が増えてきたら年間包括契約への切替えを検討する

スポット契約と年間包括契約、どちらが有利かは業種と工事件数によって変わります。

当社の試算では、業種ごとに以下の件数を超えると年間包括契約の方が割安になる傾向があります。

業種 包括契約が有利になる目安
建築一式工事業 年間7件以上
電気工事業 年間7件以上
土木一式工事業 年間8件以上
塗装工事業 年間8件以上
管工事業 年間6件以上
解体工事業 年間5件以上

年間包括契約には、保険料が割安になるほか、手続きの簡素化・付け忘れの防止といったメリットもあります。

一方で、工事件数が不安定な場合や受注する工事の内容・リスクがばらつく場合は、必要な現場だけに保険をかけられるスポット契約の方が柔軟に対応できます。

どちらが有利かは状況次第なので、自社の工事パターンを整理したうえで保険代理店に相談することをお勧めします。

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まとめ:現場ごとの工事保険で単発・短期工事を安心して進めるために

単発・短期工事でも、スポット契約(現場ごとの個別加入)で工事保険に加入できます。

年間包括契約がなくても現場に入れる、現実的な方法です。

この記事のポイント
  • スポット(個別)契約で現場ごとに工事保険に入れる
  • 最低保険料があるため短期でも保険料は一定額以上かかる
  • 保険は着工前が必須で余裕を持って1週間前に申し込む
  • 急ぎなら加入証明書の即日発行で翌日着工にも対応できる
  • 業種によって年間5〜8件が包括契約への切替目安

スポット契約には、最低契約期間・最低保険料・工期延長時の延長手続きという3つの注意点があります。

「短期だから保険料は安い」「工事が終わったら保険も自動で終わる」という思い込みが、思わぬ損失につながることがあります。

事前に仕組みを理解しておくことが、万一の備えを確実に活かすための前提条件です。

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