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工事の施工ミスで数百万円の損失も?賠償責任・やりなおし工事保険で負担を軽減
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工事の施工ミスで数百万円の損失も?賠償責任・やりなおし工事保険で負担を軽減

工事の施工ミスで数百万円の損失も?賠償責任・やりなおし工事保険で負担を軽減 | 賠償責任保険

建設現場では常に高い品質が求められますが、どんなに注意しても施工ミスを完全になくすのは難しいものです。

もしミスが起きてしまうと、工事のやり直し費用や賠償金の負担だけでなく、会社の信頼を大きく損なうことにもなりかねません。

そんなとき、保険をうまく活用すれば、トラブルに伴う費用負担を軽くできるのです。

この記事では、以下の疑問を解決します。

  • 施工ミスが起こると、業者にどのような負担がかかるのか?
  • 施工ミスの損害をカバーするには、どんな工事保険が有効か?
  • 保険料を抑えながら、しっかりとリスクに備える方法はあるか?

建設業のリスク管理やコスト削減に関心のある方は、ぜひ参考にしてください。

工事現場でなぜ施工ミスが起こるのか?よくある原因とリスク

施工ミスは「人が作業をする以上、どうしても避けきれない」と言われるほど、多くの建設現場で発生しています。

実際に、「新築工事中の施工不良が全検査項目で50%超え」といった調査結果もあるほど、決して他人事ではないのです。(参考:さくら不動産

ここでは、施工ミスの代表的な原因や、業者が負うリスクを整理してみます。

施工ミスの典型例はヒューマンエラー

現場で起こるミスの多くは、作業員の疲労や慣れによる「うっかり」によって引き起こされます。

たとえば、以下のようなケースが考えられます。

  • 接着剤を塗り忘れて、後から水漏れしてしまった
  • ビスを締め忘れて、パネルが落ちてしまった
  • 配線を間違えてつないでしまい、電気設備が動かなくなった

このような初歩的な見落としや作業ミスは、誰にでも起こり得るものです。

しかし、後に「水漏れで内装が腐食した」「構造上の欠陥が見つかった」といった大きな問題につながることも珍しくありません。

材料・工程管理の不備によるトラブル

人為的な作業ミスだけでなく、材料選定や工程管理の不備も施工不良の原因になります。

  • 材料選定ミス: コストを優先して、本来必要な性能(強度、耐久性など)を満たさない安価な材料を使用する
  • 工程管理ミス: 工期を優先して、本来必要な検査や確認作業を飛ばしてしまう

こうした事例では、表面上はきれいに仕上がっていても、後に雨漏りやひび割れといった欠陥が見つかり、結局やり直し工事が必要になってしまいます。

発生時に業者が被る主なリスク(費用・信頼低下など)

施工ミスがわかった場合、業者側は以下のようなリスクを負う可能性があります。

  1. 高額な費用を負担
    やり直し工事や補修にかかる費用だけで数十万円から数百万円が必要になる場合があります。被害を受けた建物以外にも、近所の車や建物にも被害が及べば、さらに賠償金が上乗せされます。

  2. 信頼低下による受注減
    ミスが原因でクレームが広がり、口コミや評判が悪くなれば、新規の受注が減ってしまうかもしれません。

  3. 法的責任の追及
    契約不適合責任(以前の「瑕疵担保責任」にあたるもの)に基づいて損害賠償を請求されると、建物を引き渡した後であっても、大きな出費は避けられません。

このように、ちょっとした作業ミスに見えても、結果的に会社の経営そのものを揺るがしかねない大きな問題に発展することもあるのです。

施工ミスを補償できる保険とは?(請負業者賠償責任保険・やり直し工事保険など)

もし施工ミスが起きてしまったときに、その損害をカバーしてくれる保険がいくつかあります。

ここでは、業者として知っておきたい代表的な保険、「請負業者賠償責任保険」と「やり直し工事保険」を中心に、それぞれの違いを見ていきましょう。

「請負業者賠償責任保険」と「やり直し工事保険」の違い

まずは、以下に簡単な違いをまとめました。

比較項目 主な補償対象 補償されない主なケース
請負業者賠償責任保険 工事中の第三者への損害 (人・モノ) 施工対象物そのものの損壊 (単独の場合)
やり直し工事保険 工事中の施工ミスによる「施工対象物」の損壊 第三者への損害 (単独の場合) ※商品による

請負業者賠償責任保険:第三者への損害をカバー

「請負業者賠償責任保険」は、主に工事の作業中に、第三者 (人・モノ)に損害を与えてしまった場合に、その賠償費用をカバーする保険です。

下請け業者が起こした事故もまとめてカバーされることが多いのが特徴です。

<補償されるケースの例>
  • 足場が崩れて、近くに停めてあった車を壊してしまった
  • 資材を運んでいるときに、うっかり隣の家の壁を傷つけてしまった
  • 作業員の不注意で、通りかかった人にケガをさせてしまった

ただし、上の表にも書いたように、施工している建物自体が壊れた場合の損害は、基本的にこの保険ではカバーされません。

やり直し工事保険:施工ミス自体の修復費用を補う

いわゆる「やり直し工事保険」は、保険会社によって名前が違いますが、「目的物損壊担保特約」などと呼ばれることが多い特約です。

これは、工事中のミスが原因で、施工している建物や設備そのものが壊れてしまった場合のやり直し費用をカバーするもので、請負業者賠償責任保険だけでは足りない部分を補う役割があります。

<補償されるケースの例(保険商品による)>
  • 壁を取り付ける場所を間違えたので、一度壊して作り直す費用
  • 取り付けた設備をうっかり壊してしまい、交換して付け直す費用

ただし、保険商品によっては「第三者への被害を伴う事故」が支払いの前提となる場合や、「工事対象物だけが壊れた場合は対象外」条件が付いていることもあります。

加入時には補償範囲をしっかり確認しましょう。

PL保険(生産物賠償責任保険)との違い・使い分け

施工ミスへの備えとして、PL保険(生産物賠償責任保険)を思い浮かべる方もいるかもしれません。

しかし、PL保険は、建物などを引き渡した後に、その建物や設備が原因で起こった事故をカバーする保険なので、少し役割が違います。

<補償されるケースの例>
  • 建物完成後に外壁のタイルが落下し、通行人にケガをさせた
  • 設置した給湯器の不具合で水漏れし、家財に損害を与えた

まとめると、事故が起きたタイミングによって、関係する保険が変わってきます。

  • 工事期間中 → 「請負業者賠償責任保険」や「やり直し工事保険」
  • 引き渡し後 → 「PL保険」

このように、事故がいつ起きたかによって使える保険が違うので、いくつかの保険を上手に組み合わせて、色々なリスクに広く備えることが重要になってきます。

実例から見る保険適用

保険の仕組みを聞いただけでは、「実際にどんな時に保険金が出るの?」と、イメージしにくいかもしれませんね。

ここでは、実際に起こった施工ミスの事例と支払われた保険金の金額を、工事保険比較WEBの事例からいくつかご紹介します。

事例1: 床タイル施工不良が原因で後工程のコートに亀裂

床タイルの施工精度に問題があり、その上から塗った防塵用の塗装にひび割れが入ってしまい、塗り直しが必要になりました。

自社のミスが他の工事に影響を与えたこのケースでは、「賠償責任保険」から再施工費用など約158万円が補償されました。

事例2: 沈下修正工事の埋め戻し不備で配管を損傷

地盤沈下修正という特殊な工事で、セメント系の材料を流し込む作業が不十分だったために、敷地内の配管設備が破損して交換が必要になりました。

この作業ミスによる損害に対し、「賠償責任保険」から配管交換費用など約427万円が支払われました。

事例3: 引き渡し後の雨漏りでエレベーター設備に被害

建物を引き渡した後に雨漏りが見つかり、エレベーター設備が水に濡れて使えなくなってしまいました。

施工後の不具合が原因で、第三者(この場合はエレベーター)に損害を与えたとして「賠償責任保険」が適用され、修理費用などとして約78万円が支払われました。

このように、予期せぬ施工ミスによる損害は、やり直し工事や賠償などで、かなり高額になることも少なくありません。

きちんと保険に入っておくことで、万が一の時の金銭的な負担を、ぐっと軽減することができるのです。

施主から賠償請求されたらどう対応する?

施工ミスが原因で、施主(依頼主)から損害賠償請求を受けるケースも、残念ながらあり得ます。

契約不適合責任に基づいて賠償を求められた場合は、だいたい次のような流れで対応することになります。

  1. 事実確認と調査
    写真や検査報告などをもとに、不具合の原因をはっきりさせます。

  2. 損害額の算定
    修理見積もりや弁護士費用の可能性を含め、負担額を試算します。

  3. 話し合い・示談交渉
    保険が使えるか、工事をやり直す必要があるかなどを話し合い、できるだけ早く解決できるよう努力します。

  4. 必要に応じて専門家に相談
    弁護士や第三者の相談機関(国土交通省の住宅紛争処理支援センターなど)に相談して、公平な立場で問題を解決する方法を探ることも考えます。

工事保険に加入している場合は、上記に関わる損害や弁護士費用の一部を補償できる可能性もあるため、必ず加入保険の補償範囲をチェックしてください。

保険料を抑える主な方法は?

リスクに備える必要性はわかっていても、「保険に入ると保険料が高そう…」と感じて、なかなか加入に踏み切れない方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、いくつかの方法を活用することで、保険料の負担を軽くする方法があります。

「団体割引×保険のまとめ契約」がおすすめ

コストを抑えたい方には、団体割引の活用と、複数の保険を一つにまとめる方法がおすすめです。

  • 団体割引の活用:

    建設業関連の協力会や商工会議所などを通じて加入することで、団体割引が適用され、個別加入するより10~30%以上安くなる場合もあります。

  • 複数の保険をまとめる:
    請負業者賠償責任保険、労災上乗せ保険などを個別に契約するのではなく、「建設総合賠償保険」や「工事包括保険」といった形で一つにまとめることで、管理の手間が省けるだけでなく、セット割引などが適用されることも期待できます。

このような方法を組み合わせることで、補償内容を維持しながら保険料を大幅に削減できるケースも少なくありません。

実際に、保険比較WEBを運営するマルエイソリューションでは、約80%の費用削減につながった事例もあります。(引用:マルエイソリューション

工事保険の費用相場や安くする方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもぜひご覧ください。

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建設現場は高所作業や大型機械の使用など、事故リスクが他の業種と比べて格段に高いといわれます。 万が一、大きなけがや資材の破損、近隣建物への被害などが起こった場合、数千万円から数億円の賠償金が発生することも珍しくありません。 しかし、こうしたリスクに対して「工事保険」の加入を後回しにしている事業者

もちろん、事故そのものを減らす取り組みも大事

保険は万が一の損害に備えるものですが、事故そのものを減らす取り組みも大切です。

事故の発生率が低くなれば、保険会社からのリスク評価が改善され、次回の保険更新時に保険料が割引され、結果的に保険料を抑えることにつながるかもしれません。

  • 社員教育の徹底: 定期的な安全教育や、過去の事故事例の共有を行う。
  • KY活動(危険予知活動)の実施: 作業前にどんな危険がありそうか話し合い、対策を決める習慣をつける。
  • ダブルチェック体制の導入: 重要な工程では、複数人で確認を行う。
  • 作業手順書(マニュアル)の見直しと遵守: 最新の状況に合わせて手順書を用意し、全員が確実に守るようにする。

保険による備えと合わせて、地道な安全管理の積み重ねが、会社のリスクを低減し、コスト削減にも貢献するのです。

まとめ:施工ミスリスクに保険で備え、コスト削減も目指そう

施工ミスは、いつ自分の会社で起こってもおかしくありません。

万が一の時に備えて、きちんと保険に入っておくことは、会社を安定して続けていく上で、欠かせない備えと言えます。

この記事では、建設現場における施工ミスのリスクと、保険による備えについて解説してきました。

  • やり直し費用や賠償金、会社の信頼低下など、経営に直結する大きな負担がかかる。
  • 工事中は「請負業者賠償責任保険」「やり直し工事保険」、引き渡し後は「PL保険」を状況に応じて組み合わせる。
  • 団体割引の活用、複数の保険を一つにまとめることでコスト削減が期待。

もし施主から契約不適合責任で賠償を求められるケースに備える場合も、工事保険の範囲をしっかりチェックし、適切な補償が受けられるようにしておきましょう。

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