投稿日:2024.12.24 最終更新日:2025.11.28
建設工事保険で現場を守る!補償範囲や補償外のケースもあわせて解説
建設工事に携わる皆さんにとって、建設途中の建造物・資材が壊れたり、傷ついたり、はたまた盗まれてしまったり…といった「もしも」の状況は案外珍しいことではありません。
実際に、国土交通省の建設工事事故データベースによると、令和元年から令和4年度にかけて約1,600件の建設工事事故が発生しています。重大な事故では損害賠償が数千万円に及ぶケースも少なくありません。
そんな建造物や資材にかかわるリスクに備える工事保険が「建設工事保険」です。建設工事現場で発生する可能性があるさまざまな物的損害をカバーする心強いサポートとなります。
この記事では、建設工事保険の基本的な内容や必要性、選び方のポイントについて詳しく解説します。現場の安心を守るために、ぜひ参考にしてください。
- 建設工事保険の基本的な補償内容と必要性
- 実際に発生した建設工事現場の事故事例と損害額
- 補償される事故と補償されない事故の具体的な違い
- 地震・津波・豪雨などをカバーする特約の種類
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目次
建設工事保険:建設中の物的損害をカバーする工事保険
建設工事保険は、建設中の建物や工事現場における「物的損害」があった場合に損害賠償をカバーする工事保険です。この保険は、工事が行われている間に発生するさまざまなリスクから保護するために設計されています。
建設工事保険は、建物の建設、改修、または増築中に発生する不測の事故や損害に対して、復旧費用を補償します。これには、火災、爆発、盗難、作業ミスなどが含まれます
この保険に加入することで、建設中の建物が強風で倒壊したり、現場に置いていた資材が盗難に遭うといった事態に発生する大規模な金銭的損失を軽減することができます。
法律の面から見ると建設工事は、さまざまな法令によって適正な施工体制の確保が義務付けられています。
建設業法第24条の8では、一定規模以上の工事(金額基準:5,000万円、建築一式は8,000万円)において、元請は施工体制台帳の作成・備付けおよび施工体系図の作成・掲示を行い、下請に関する事項を記載して適正な施工体制を確保する義務があります。
また、建築基準法第6条では、建築主は対象となる建築物の建築・大規模の修繕/模様替等の工事を着手前に建築主事等の確認を受けなければならないと定められています。
さらに、労働安全衛生法では、事業者は労働者の安全と健康の確保義務を負い、建設現場等の混在作業では規模に応じて統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者等の選任が求められます。
建設工事保険は、これらの法令を遵守した適正な施工環境下において、不測の事故から建設中の物的リスクをカバーする役割を果たします。
建設工事保険の適用範囲

ここでは、建設工事保険がカバーする補償対象と補償されないケースを具体的に解説します。
補償対象のケース
まずは建設工事保険が「補償できる」内容について見ていきましょう。建設工事保険は、建設中の建物や構造物、資材、機械設備、作業中の事故による損害をカバーします。
建設中の建物や構造物の損壊
建設中の建物や構造物が、予期せぬ災害や事故によって損壊した場合、建設工事保険が修復費用をカバーします。例えば、強風で建物が倒壊したり、作業中に落下物で構造物が損傷した場合に補償を受けることができます。
資材や機械設備の被害
工事現場で使用する資材や機械設備が盗難や事故によって損害を受けた場合も補償の対象です。例えば、現場に保管していた資材が盗難に遭ったり、クレーンなどの高価な機械が操作ミスで損傷した場合に保険が適用されます。
作業中の事故による損害
作業中の事故による損害もカバーされます。例えば、施工ミスで建設中の構造物が破損した場合や、周囲の建物や設備に被害を与えた場合です。
一般的な建設工事保険の約款では、その中でも以下のような事故による損害が補償されます。
- 火災、落雷、破裂・爆発
- 盗難
- 第三者や作業中の過失による損害
- 風災(台風・竜巻等)、雹災
- 車両衝突、航空機落下等
火災、落雷、破裂・爆発による損害【想定されるケース】
建設現場や工事対象物が火災、爆発、破裂、落雷によって損傷した場合、その損害が補償されます。溶接作業中の火災や、ガス爆発、落雷による設備の損壊などが含まれます。
例えば、溶接作業中の火花が養生シートに引火し建設中の建物の一部が焼損するケースや、建設現場での電気工事中にショートが発生して火災が発生するケース、ガス配管工事中にガス漏れが発生し爆発事故により建設中の構造物が損傷するケースなどが想定されます。
また、落雷により建設現場の電気設備や制御機器が損壊した場合や、ボイラーや圧力容器の破裂により周辺の建設資材や機械が損傷した場合も補償の対象となります。
盗難による損害【実際の事例とお支払い金額】
工事現場での資材や機器の盗難による損害も対象となります。特に無人となる夜間や休日の盗難リスクをカバーします。
工事現場は高価な機械や道具が置いてあるため、常に泥棒に狙われやすい場所です。大型機械が盗難に遭うと、金銭的なダメージはもちろん、工期遅延の負担もかかります。
工事現場で床洗浄機と道路清掃車が盗難
工事現場に置いてあった床洗浄機と道路清掃車(ロードサービススイーパー)が盗難される被害が発生しました。この事例では約224万円の保険金が支払われました。
工事機械の盗難
工事現場にてプレートコンパクター(地盤締固め機械)が盗難される被害が発生しました。この事例では約11.8万円の保険金が支払われました。
第三者や作業中の過失による損害【実際の事例とお支払い金額】
作業員のミスや不適切な作業方法によって発生した損害も補償されます。例えば、重機の操作ミスで建設中の構造物が損傷した場合や、施工ミスによる建設中の建物の破損などが含まれます。
大割圧砕機交換作業中に機械が落下し破損
解体作業中、作業手順の不徹底や固定不良が原因で機械が落下し破損しました。この事例では約413.5万円の保険金が支払われました。
新築現場で外壁(ガルバリウム鋼板)を損傷
新築工事現場にて資材の運搬中や作業中に外壁のガルバリウム鋼板を傷つけ補修が必要になりました。この事例では約40万円の保険金が支払われました。
コンクリート片が飛び散り自動車と近隣建物を損傷
新築工事中にコンクリートの打設作業中、破片が飛び散り、近くに駐車していた自動車と近隣の建物を損傷しました。この事例では約33.8万円の保険金が支払われました。
風災(台風・竜巻等)、雹災による損害【実際の事例とお支払い金額】
台風や竜巻、暴風、雹(ひょう)などの自然災害による損害も補償対象です。強風で建設中の構造物が倒壊したり、資材が損傷した場合に適用されます。
建物は完成しても、引き渡し後に施工不備があれば責任を問われる可能性があるため、適切な保険でカバーすることが重要です。
突発的な悪天候により、シート張り工事が被災
工事中、突発的な悪天候による嵐の影響で、工場屋根のシート張り工事が被災し破損しました。この事例では約89.7万円の保険金が支払われました。
暴風雨の漏水で室内の壁や家電に被害
引き渡し後に発生した暴風雨で雨水が侵入し、内装の壁やエアコン、テレビなどが損傷。防水処理の不備が判明し施主が賠償請求する事態となりました。この事例では約68.6万円の保険金が支払われました。
車両衝突、航空機落下等による損害【想定されるケース】
工事現場や建設中の構造物に車両が衝突した場合や、航空機の落下による損害など、予期せぬ外部からの衝撃による損害も補償されます。
例えば、工事現場付近を走行中の車両が誤って現場に突入し建設中の構造物を損傷するケースや、工事用の重機や車両が操作ミスで建設中の建物に衝突するケース、トラックが資材置き場に誤って突っ込み保管していた建設資材を破損するケースなどが想定されます。
また、稀なケースではありますが、航空機や飛行物体の落下により工事現場の設備が損壊した場合も補償の対象となります。
補償の対象外となるケース
一方、建設工事保険では補償の対象外となるケースもあります。これらには特約や他の保険を併用することで対処可能です。
- 地震、噴火、津波による損害
- 戦争、放射能汚染
- 自然な消耗、経年劣化による損害
- 設計・施工上の欠陥そのものの修補費用
地震や津波、豪雨による損害
地震や津波、豪雨などの自然災害による被害は基本的に補償対象外です。
なお、注意点として、「風災」と「水災」の区別が重要です。例えば、台風による強風での損害は補償されますが、豪雨による土砂崩れは水災として扱われ、補償されないことがあります
これらをカバーするには、自然災害特約を追加するか、地震保険や洪水保険を併用することが重要です。
故意による損害や管理不足
保険契約者の故意による損害や、現場管理が不十分だった場合も補償対象外です。例えば、安全基準を無視した作業や、法的要件を満たさない状態での工事が原因で損害が発生した場合には保険が適用されません。
その他業種で検討したい工事保険(対物)
建設工事保険は建設工事中の物的損害を補償しますが、物的損害に対する保険は工事の種類で区分されています。ここでは他に代表的な2つの保険を紹介します。
土木工事保険
土木工事保険は、河川工事や道路工事、橋梁建設などの土木工事にともなう物的損害を補償します。
河川工事中に豪雨で資材が流出したり、重機が転倒して損害が発生したりと自然環境の影響や作業規模の大きさから、建設工事保険では十分にカバーできないリスクにも対応しています。
道路やトンネルといった工事現場は他工事よりも規模が大きく、地形や気象条件に左右されやすい環境にあります。
そのため、水害や火災といったトラブルによって事業者の金銭的な負担が発生することもしばしば。こうした特に高いリスクを伴う土木(インフラ)工事において、作業中の資材や建造物にかかる物的損害リスクをカバーするのが土木工事保険です。
土木工事保険で工事リスクを軽減!補償内容を適用ケースで詳しく解説
道路やトンネル、橋梁などの土木工事は、規模が大きく自然災害のリスクも高い現場です。 国土交通省の統計では、土木工事における事故は年間約400件発生しており、実際に豪雨による土砂崩れで約4,644万円、河川増水による橋梁工事の被害で約8,000万円といった甚大な損害も報告されています。 土木工事保
組立保険
組立保険は、工場やプラントなどの設備組立工事にかかわる物的損害を補償します。
発電所や化学工場などの高度な設備を扱う工事では、組み立て中の事故や機械設備の故障といったリスクがあり、建設工事保険では想定されていない場合があります。
昨今の組立工事では精密機器の取り扱いや高所での作業など、特有のリスクが存在します。
こうした設備の故障・損傷といったトラブルが発生してしまうと、事業者の金銭的な負担が発生してしまいます。こうした工事中のリスクをカバーするのが「組立保険」です。
組立保険で備えられる工事リスクとは?補償外のケースもあわせて解説
工場の生産ラインや発電所の設備、プラント配管などの組立工事では、1台数千万円規模の機械をクレーンで吊り、狭いスペースに据え付ける場面が珍しくありません。 ひとつのミスで高額な設備を損傷し、工期や取引先との関係にまで影響が出るリスクを常に抱えています。 例えば、試運転中の振動で内部部品が破損し
工事現場の物的リスクをマルエイソリューションが徹底サポートします
建設工事は計画通りに進めるために、さまざまなリスク管理が求められます。
特に物的損害をカバーする建設工事保険は、施工業者としての経済的負担を軽減し、取引先や顧客に対する信頼を高める重要な役割を果たします。
- 建設工事保険は建設中の建物や資材などの物的損害をまとめてカバーする工事保険
- 火災・盗難・作業ミスなどは補償対象だが、地震・津波・豪雨(水災)などは特約で補う必要
- 工事の内容(建築/土木/設備)にあわせて、保険の種類と保険金額を選ぶことが重要
マルエイソリューションでは、こうした建設工事保険や工事保険の分野で、さまざまなプランを幅広くご案内可能です。
お客様のニーズに応じて最適な保険を提案できるだけでなく、安価での乗り換えやお得なパッケージプランも多数取り揃えており、多くのお客様に継続的にご利用いただいています。
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